2024.12.13
建築会社はどう選んだらいいの?
こんにちは。
不動産コラム担当の市原です。
今回のコラムでは、不動産から少し離れて、家探しを始められた皆さんが必ずぶつかる疑問に触れてみたいと思います。
家を建てたいけれど、どの会社で選んだらいいの?
お客様の選択基準はいろいろあります。
・フィーリングで選ぶ。
・ライフスタイルに合わせて選ぶ。
・設計重視で選ぶ。
・施工力重視で選ぶ。
・建築会社の規模で選ぶ。
・地元企業重視で選ぶ。
建築会社の広告を見ると、
設計力、施工力、アフターサービス等全てを兼ね備えているように感じますが、大手ハウスメーカーに籍を置いたことがある者として感じていることをお話しすると、全てを兼ね備えている会社はない、といってよいと思います。
高齢化や少子化により職人も減り、長く続いたデフレの影響もあり、特に施工については、 安い、きつい、汚いと思われているのか慢性的な人不足になっております。
建築会社の特徴はそのルーツを合わせて検討すると比較的わかり易いです。主な傾向を列記すると、
1.不動産業系
2.建売分譲系
3.高度成長期木造ハウスメーカー系
4.高度成長期プレハブハウスメーカー系
5.財閥系ハウスメーカー
6.工務店系
7.設計事務所系
8.パワービルダー系
9.輸入住宅系
10.家電量販店系
11.新工法プレハブ系
だいたいこの11のパターンになるのではないかと思います。
それぞれ解説すると、
1.不動産業系
不動産会社がルーツとなっているハウスメーカー。地元業者が多い。建売分譲系と重なる部分が多い。不動産会社が売上や収益を上げる為に建築を始めた建築会社。
2.建売分譲系
建売分譲住宅から発展した系統。高度成長期からバブルにかけて誕生した会社が多い。
建売分譲で培った施工力をベースにリスクが少ない注文住宅に市場展開した建築会社。
3.木造ハウスメーカー
木造住宅を中心として注文住宅を施工するハウスメーカー。高度成長期に設立した建築会社はかなりの数が倒産したり、吸収合併されている。
4.プレハブハウスメーカー
高度成長期に工業化住宅の建築と市場拡大を目標に事業展開したハウスメーカー。
金属の構造躯体が特徴。「〇キスイハウス」「ダ〇ワハウス」はその代表格。
5.財閥系ハウスメーカー
皆さまご存じの財閥系の名前を会社名に使用しているハウスメーカー。資金力豊富。
「〇井ホーム」「三〇地所ホーム」「〇友不動産」等。
6.工務店系(ホームビルダー)
地元の工務店をルーツとした建築会社(ホームビルダー)。アートテラスホーム㈱はこの系統。職人とのつながりが強く施工力が高い。また、施工のみの工事を請け負うことが出来る場合がある。
7.設計事務所系
設計力を武器として事業展開している建築会社。設計力を必要とする高度な要求に対して、顧客の要望を叶えていく会社。「ザ・注文住宅」
8.パワービルダー系
バブル崩壊後のデフレを背景に成長したパワービルダー系の建築会社。建売分譲による大量発注により、規格化した住宅やコストの安さが特徴。
9.輸入住宅系
主に断熱性や気密性に富むアメリカやヨーロッパの家をそのまま輸入したり、一部日本風にリニューアルして部材を作り建築する建築会社。「ス〇ェーデン〇-ム」等。
10.家電量販店系
家電量販店が住宅業界に参画した建築会社。当然、家電を中心とする設備機器を強みとして建築する会社。「ヤマ〇ホームズ」が有名。
11.新工法プレハブ系
最近出てきた3Dプリンターハウスを建築する建築会社。建築コストの低さと工期の短さが特徴。
この中から選べと言われても、建築会社の選択は、やはり好みとなります。それぞれに特徴や強みがありますので、それを踏まえて選ぶことが大切です。企業努力が前提ではありますが、適正価格のお取引をお願いできれば、と考えております。
建築会社を選択する時に、私個人が重視するポイントがあります。
◆1つめのポイントが会社の「決算」です。
建築会社の決算を見る時に事前に知っておかなければならないポイントが4つあります。
1.1棟1棟が高額であること。⇒工事数により売上が上下しやすい。
2.土地を取り扱う建築会社は借入金が多いこと。⇒ほぼ1年後には返済する必要があります。
3.売上金額の全額回収まで時間がかかること(売掛金計上)。⇒売上のタイムラグがあります。
4.沢山の職人や部材メーカーに工事代金の支払があること。⇒予算管理の必要があります。
この4点を踏まえて、
契約計上のタイミングが設計契約(建築申込)になっている会社は特に危険です。
設計契約時点の「契約ベース」ということは、設計契約として100万円の契約をした時点で売上としてしまうので、契約解除となった時点で決算期を跨いでしまった場合は、
前年度に確定した売上が次年度時点でマイナスになるという事です。
これを意図的に操作すると「粉飾決算」となり、ほぼ犯罪となります。
設計契約(申込)が解約となった場合、決算時に修正申告等が必要になります。
「契約ベース」で売上計上する組織は、常にそのリスクの中にあります。
健全な決算ができない可能性がある会社は最初から避けるべきだと思います。
◆2つめのポイントは「営業担当」です。
「営業」というのは3つの傾向があると私は考えております。
1.お客様にとって良い「営業」
2.会社にとって良い「営業」
3.お客様と会社にとって良い「営業」
まず、営業の資質として大切なのは、以下の5つです。
・挨拶ができること。
・聞き上手であること。
・「イエス」「ノー」がはっきり言えること。
・嘘をつかないこと。
・時間を守ること。
当然と言えば当然ですが、残念ながらできていない営業の方が多いです。
それを踏まえて、3つの良い「営業」を解説します。
①.お客様にとって良い「営業」
これは先に挙げた営業の資質としての5つのことです。
②.会社にとって良い「営業」
売上に多大に貢献して、クレームが少ない営業のことです。
いわゆる会社が言う優秀な「営業」とは会社にとって良い「営業」です。
③.お客様と会社にとって良い「営業」
これが本物の営業です。会社に対してもお客様に対しても営業に大切な5要素を実現している「営業」です。
お客様の気持ちを無視して理詰めでクロージングしたり、昔ながらのやり方で、「キャンペーン価格」を餌に契約を迫ることがありますが、これは、まともなやり方、と言えるでしょうか?
お客様が「家探し」の時に感じる不安要素の一番大きい部分は「時間と情報」です。「時間」とは個々の家庭の事情から新しい家に入居するまでの残り時間です。時間不足に陥らないための対策は「計画」です。
「情報不足」を補う為には、必要な情報を的確に得ることです。
そのために必要な存在として「営業」がおります。
「営業」の人間性というのは大変重要です。
嘘を言う営業、都合の良い事しか言わない営業は、「百害あって一利なし」です。
住宅というのは、個人にとってその生涯でもっとも大きな買い物のひとつです。
営業が勤務する会社にとってメリットがない情報でも、本当のことを言える営業こそ、良い営業だと思います。
◆3つめのポイントは「施工」です。
クレーム産業と言われている業界なので、施工体制のチェックは大切です。
家を建築するのは、その会社の施工部門であり、工務店や職人です。
どんなに優れた設計でも、しっかり施工できるかは別です。
「それを考えるのが工務店であり、職人でしょ?」と言われることもありますが、施工している職人や会社は、予算と仕事内容が見合わない場合、職人は生活を守るために手を抜かざるを得なくなるのです。
施工会社には逃げ場がないのです。
建築工事には「分離発注方式」と「一括発注方式」があります。
たまに「直営工事」を売りにしている会社がありますが、「直営工事」とは分離発注方式ということです。
分離発注方式とは、建築会社の工事監督が職種ごとに分離して発注をしている方式のことで、施工マニュアルにより、工事監督がしっかりチェックします。分離発注がしっかりできる会社は施工力が高い会社です。予算配分の責任を建築会社がコントロールしているため施工精度が上がります。
一括発注方式は工事自体を一括して工務店(ホームビルダー)に発注する方式です。親会社は利益確保が容易ですが、厳しい予算の場合、手抜き工事が発生する可能性が高い方式です。
建築業法第22条(平成4年通達)により一括発注は禁止されております。
以上が、建築会社を選択する時のポイントとなります。
家探し・建築会社を決める際に、少しでも参考にして頂けたら幸いです♪