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2024.10.18

インフラの話

こんにちは。

不動産コラム担当 市原です。

 

今回はインフラの話をします。

 

インフラとは、「インフラストラクチャー」、直訳すると「下部構造」という事ですが、

交通、道路、上下水道、ガス、電気、通信施設、公共施設のことを指します。

「土地探し」や「家探し」においては、重要な要素のひとつとなります。

 

それぞれ説明します。

 


 

「交通」

上で示したものの中では、最も整備されています。

徒歩…徒歩〇〇分、という表記を不動産広告で見たことがあると思いますが、1分間に80m進む前提で計算されます。途中公園をショートカットしたとしてもルール上は「あり」です。学校や他社所有地のショートカットは認められません。上り坂、下り坂、階段は考慮されません。信号も考慮されません。

電車やバスの時間については、運航会社が所要時間を公表しているので、それを参考にしましょう。

 

 

「道路」

道路は注意が必要です。

法律における道路の種別は2種類あります。

「建築基準法」の道路と「道路法」の道路です。

建物を建築する場合、道路に面していること(接続)が必要です。

原則、最低道路幅は4mです。4mに不足している場合は、原則としては道路中心線から2mづつ道路として確保し、道路幅が足りない場合は敷地を道路用地として提供する必要があります。「セットバック」と言います。

建築基準法道路は建築基準法第42条に記載されていることから、42条1項1号~5号及び42条2項の6種類の道路に適合することが必要です。上記6種類に適合しない場合は、各行政の「建築審査会」により建築要件を判断されます。

建物を建築する場合には、もう一つ道路に関する要件があります。道路と敷地が接している長さです。2m以上必要となっております。2mとされた理由はわかりませんが、昔は自動車も小さかったことから2mで良かったのかもしれません。今は自動車も大きくなったため、2mでは駐車は出来てもドアが開けられなくなります。

また敷地が道路に2m接続していても、敷地内にブロックや境界壁があったりすれば駐車は困難です。

ちゃんと現地を見て判断する必要があります。

 


 

次に道路法の道路について説明します。

 

道路にはまず、「公道」「私道」があります。

 

公道の管理者は、国、地方公共団体(都道府県、市区町村)です。

国や都道府県が管理している公道、特に車道部分は、原則、上下水道施設や通信、ガス施設は入りません。既に国道や都道府県道沿いに住んでいる皆さんは例外です。

 

約30年前の経験談ですが、都道沿いに店を構える酒屋さんが店じまいしてアパートを建てたい、と相談をされたことがあります。

上下水道の関係で都道の道路向かいにある配管に接続が必要になり、都道の掘削、復旧工事(掘削箇所を埋め戻してきれいに舗装しなおす工事)の見積をした時にびっくりしました。当時でも1千万円弱の見積でした。お客様に提示した途端に破談となりました。

国道や都道は舗装の強度や厚さだけでなく交通量も違う為、工期も必要となりました。

考えてみれば当然です。主要幹線道路は地震や災害にも対応できるように作られています。そういう意味では、国道や都道府県道沿いの土地を検討する場合は注意が必要です。

 

 

「私道」については、管理者は私道の所有者となります。

「所有者」という事は、固定資産税等が発生するのか?と気づいた方は上級者です。

私道であっても、地方公共団体から「道」として認めてもらえば、固定資産税等はかかりません。セットバック(建築基準法上の道路として、必要幅員を確保する為に敷地後退した部分)もかかりません。但し、敷地延長(旗竿敷地)の通路部分は別です。

私道は一般的には、私道部分を共有者が分割して所有するケースや所有権の共有者として持分を所有します。

 

私道の注意点を列記します。

①私道所有の権利がない場合

上下水道やガス工事の為の掘削時には私道所有者全員の同意が必要です。

悪質な業者は、同意書を偽造して地方公共団体に許可を取り工事をします。同意書が偽造されていても、既にその上下水道が使用されてしまえば、生命維持に必要なものであるため、撤去は困難となります。上下水道を管理している行政も、合意書に印鑑証明の貼付を義務付けているわけではないので、トラブルを避け私文書偽造対策には消極的な場合もあります。残念ながら、私道の許可を要する工事において私文書偽造は横行しております。

 

②私道所有権が第三者の単独所有の場合

私道所有権を第三者が単独所有している場合、新築工事の際に費用を求められることがあります。私道所有権を第三者が単独所有している、ということは異常なことと言えると思います。地上げの痕跡として、私道所有権を単独所有している場合もあります。

私道を第三者が単独所有している場合は、私道所有者から通行料や工事手数料等の請求について確認が必要です。

 

③再舗装や配管の交換は原則、所有者負担

私道の管理は私道所有者となるので、再舗装や上下水道管の交換の際は原則、私道所有者負担となります。

老朽化した私道が接続道路の場合は、その点も仲介する不動産業者に確認しましょう。

 

 

道路には法定外道路というものもあります。

建築基準法や道路法が整備される前から存在している道は、形状を残しているものや残していないものもあります。「赤道」「青道」と呼ばれている法定外道路は、法務局で取得できる「公図」にたまに出てきます。既に利用されていないものも多いので、買取が出来る場合もあります。

 

↑ 建築基準法道路種別

 

↑ 道路査定図

 


 

「上下水道」

上水道…

給水メーターから道路側は公設又は私設管、給水メーターから建物側は利用者の私設管です。

給水メーターは水道局からの借り物で、数字で記載されている部分で使用料が分かります。もうひとつ数字が書いていないものがあります。

↑ 水道メーター

 

4色に円形で色分けされた中央に赤いマークがあります。「パイロット」と言います。これが水を使用していないにもかかわらず動いている場合は、漏水の可能性が高いです。

 

↑ 水道メーター パイロット

 

私設の給水管は、公設管と比較しても細い管が使われていることが多いです。管が細いということは使用件数に制限があります。

使用件数以上の給水管利用となる場合は、給水管の交換、又は新設管敷設工事が必要となります。

昭和53年以前の給水管は鉛管が使われていることがありました。給水台帳には「LP」で記載されます。身体にはよくありません。鉄管も使用されておりました。

鉄は錆びます。塩分を含んだ土地、土中の水分の条件が揃えば錆びることは間違い

ありません。海の近くの場合は注意が必要です。

 

下水道…

下水道は2種類あります。「汚水」と「雨水」です。

↑ 雨水コンクリート桝  

 

 

↑ 汚水コンクリート桝  

 

汚水は原則生活排水です。古い住宅では、宅地内の配管が壊れていたり、詰まっている場合がありますので、確認が必要です。

雨水はそのまま雨水なのですが、昔は雨水も集水桝に集めて道路にある側溝や雨水管に放流していましたが、最近は地球温暖化に伴う雨水量の増加により、宅地内の自然浸透するようになりました。神奈川県においては、鶴見川や境川及び引地川流域が特定都市河川浸水被害対策法の対象となったので、1000㎡以上の宅地開発において、雨水の浸透トレンチや浸透パネルを設置して、阻害した雨水に対して対策を講じる必要があります。

 

汚水の最終桝は一家屋の土地に対して1か所設置されますが、たまに例外があります。

↑ 最終桝 小口径桝

 

↑ 下水道台帳

 

 

 

借地(元借地)の場合は、各家屋で分筆していないことがあるので、複数の家屋で共用の場合があります。そのような土地を購入(借地)する場合は、重要事項説明書等にしっかり記載されているか確認しましょう。

 

また、新築してから30~40年近く経過している土地は、下水道切替時に浄化槽が地中に残っている場合があります。撤去費用がかかります。これも注意が必要です。

 

↑ 国道 歩道上汚水桝

 


 

「ガス」

都市ガスとプロパンガスがあります。

都市ガスは道路下に敷設してあるガス本管からガスの供給があります。

プロパンガスは、プロパンガス供給業者によりガスボンベを利用者宅へ運搬し、供給となります。

ガスは危険、というイメージからオール電化が流行った頃は劣勢でしたが、東日本大震災でオール電化の一戸建てやマンションが被害を受けたことを機に見直されましたが、最近では高齢化による事故防止の観点からIHコンロ等の使用が増えてきております。

またプロパンガスは、賃貸住宅や一戸建てにおいて、配管費用をリース料込の請求がトラブルとなっておりました。これは、建物を建築する際に、建築費を抑える為に建築会社又は建築主がガス工事費用を節約するためにリース契約として、ガス料金込みで利用者に請求し、利用者が解約できないトラブルが生じたためです。

プロパンガスの長所は、地震等の災害で都市ガスの供給が断管の為にできなくなっても、ガスボンベがあればガス供給が遮断されることはない、ことです。

 


 

「電気・通信施設」

電気や通信配線を架線する電柱は大きく、2種類の会社が所有、管理しております。

1つは東京電力、もうひとつはNTT東日本です。

以前は東京電力がほとんどでしたが、最近はNTTの電柱(NTT柱)も増えてきているようです。この2社は共にお互いの配線を各々の電柱で架線しているにもかかわらず、会社同士はあまり関係が良くないようです。一時はお互いの役割分担で押し付け合いがあったことを覚えております。

東京都の小池知事の前々回の選挙公約に「電線の地中化」というものがありました。土木、建築業者は、恐らく皆、実現不可能と思ったと思います。私もその一人です。前職は東京都で仕事をしておりましたが、行政から「電線の地中化」で協力できる現場はないか?と相談されたことがありました。最終的には前職の会社では無理でした。

「電線の地中化」の戸建て団地を実現したデベロッパーは知っております。

 

最初に就職した会社で、その団地で建物売主として事業参画したことがあります。

一戸建ての団地で電柱を建てる場合、電気供給会社と「電柱協議」という協議をします。団地内のどこに電柱、支線、支柱を入れるのか場所と工期の打合せです。開発行為の場合、費用はかかりません。それに対して電柱の地中化は、敷地掘削費用、地中から敷地に引き込む費用と配電ポール費用がかかります。敷地を掘削すれば、残土を捨てる為に費用がかかります。また、電気供給会社も配線、配管工事が電柱の場合と異なる為、時間がかかることは間違いありません。

通信施設についても、電柱を通じて供給している「光ケーブル」は外部接触に弱いことは知る人ぞ知る事実です。「光ケーブル」の地中化も想像しただけで断線続出となるのでは?と想像してしまいます。地震等の振動でも断線の危険はあるのではないでしょうか?

 


 

「公共施設」

市役所、警察、消防署、小学校、中学校、図書館、公園等いろいろあります。特に「土地探し」や「家探し」をする皆さんが気にするのは、小学校、中学校ではないでしょうか?
一番大切なのは、安全に通学できること、です。近くても歩道の確保がなかったり、車両の往来が多かったり、細い道を通ったり、夜道が暗かったり…心配の種は尽きません。

最近は高齢化と少子化の影響で学校の閉鎖も増え、通学にもやや時間がかかる場合もあります。現時点で学校が近くにあっても、将来的に遠くなる可能性もあります。

その点においても、まずは「安全第一」でお子さんの通学はかんがえるべきと思います。

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