2024.09.06
塀の話
不動産コラム担当の市原です。
弊社は国道16号沿いにあります。
窓から外をぼんやりと見てみると…
へぇ~…(…ごめんなさい。)
10mを超えるコンクリート擁壁、間知擁壁、コンクリートブロック等、
隣地との境界にはいろんな工作物があります。
↑ 生垣
境界に存在する工作物な何のためにあるのでしょうか?
隣地との敷地境界を示すためでしょうか?
地盤が崩れないようにするためでしょうか?
目かくしするためでしょうか?
今回は塀の話をします。
塀とは、土圧(壁の裏に土による圧力)がかからない壁のことを指します。
コンクリートブロック(通称「CB」)やコンクリートで施工されている場合が多いです。
一見、新築の際には何の影響もないように思えますが、そうでもありません。
昔は、自分の敷地を隣地に対して示すために、植栽や工作物で明示しておりました。
明確な取り決めがない頃には、視線を遮る為、又は外部からの人間の侵入を防ぐ為に高い塀を作りました。
1978年の宮城県沖地震で、鉄筋が入っていないブロック塀の倒壊で死者が多数出たことを機に、境界塀の施工が厳格化されました。
その為、土圧がかからない境界塀にもいろいろな法規制があります。
CBは2.2m以上の高さは建てられません。
CBによる境界塀の高さが1.2m以上の場合、控え壁を3.4m間隔で作る必要があります。
(国土交通省通達)
CBによる境界塀は高くなればなるほど根切(基礎の深さ)が必要となり、基礎を深く入れる必要があります。
↑ 据え壁付CB
↑ 据え壁なしCB
↑ 土壁風コンクリート
↑ 木塀
2段擁壁という言葉をご存じでしょうか?
法規制が緩かった昔、敷地を目いっぱい利用する為に、擁壁の上に壁やフェンスを施工することが多くありました。
↑ CB+メッシュフェンス
↑ ネットフェンス
擁壁は土圧を受ける壁であり、その上にブロックを施工するという事は、想定外の負荷を擁壁にかけることになり、
現在では原則、擁壁上にブロックを載せる工事は禁止されております。
現存する擁壁上のブロックは建物を新築する場合に、行政から擁壁上の工作物の撤去を求められることがあります。
CBによる境界塀工事は倒壊防止の為に、現在は、根切、基礎、厚さ、鉄筋などルールが決められております。
では、探している土地やその隣地に違反境界塀がある場合はどのようになるのでしょうか?
違反境界塀が敷地内にある場合は、
①規格外の違反境界塀をそのままにして建物を新築する場合は、原則、是正措置を講じなければ建築確認の検査済証は交付されません。
②違反境界塀が隣地にある場合、壁の高さの分+行政の取り決めの距離をとり、建物を新築すれば、建物が建てられることがありますが、
隣地の境界塀が高い場合は、境界からの距離が大きくなり、敷地有効率が減少します。
③境界塀が倒壊した際に第三者の財産を破壊したり、第三者を傷つけた場合は、損害賠償となります。仮に裁判となっても、もし傷つけた
相手に支払能力がなければ泣き寝入りとなります。
他人の土地の境界塀だからと言って関係ない、と言った話ではないのです。
建物を新築する場合は、境界壁が倒壊した時のことを考えて作られているか、確認する必要があります。
境界塀については、もうひとつ注意することがあります。
越境しているかどうか確認することです。
境界塀には所有権があります。
単独所有と共有物の可能性があります。
隣地所有の境界塀が越境している時や共有の場合は、費用負担の問題があるので勝手に壊せません。
どうしても壊したい場合は、こちらの費用でこちらの敷地に境界塀を作る方法がありますが、
隣地が承諾しなかった場合は対策がなくなります。
越境物対策としては、双方覚書を締結する方法があります。
覚書の文面としては、
①隣地所有者に境界工作物が越境していることを認めてもらう事。
②建物建替時には塀の所有者の費用負担で所有地内で立て直す事。
③隣地売却時には①②の内容を承継してもらう事。
たかが境界塀の話…かもしれませんが、
何も知らないで土地を購入すると痛い目にあうことがありますので、
土地探しの際は注意してください。
不動産仲介屋さんは丙について知らない場合もありますので、
建築屋さんに聞くことをお勧めします。